空室対策の基本ポイント
賃料収入に直結する空室リスクは、経営側にとって重大な関心事です。しかし、基本的なポイントを押さえて、空室対策を行えば、空室リスクはコントロールすることが可能です。以下では主な空室対策を紹介します。
賃料、更新料などについて
【賃料設定について】
賃料と空室リスクは表裏一体の関係にあります。一般に、賃料を上げれば空室リスクは高くなり、賃料を下げれば空室リスクは低くなります。
ただし、賃料を下げて空室が早く埋まったとしても、長期的に見てプラスであるとは限りません。賃料を下げずに少し空室期間が生じても、入居してから数か月単位で考えれば、下げない方が得策という場合もあります。
一度下げた賃料は上げにくいという面があるため、慎重な対応が必要です。賃料ではなく、礼金や敷金を安くしたり無料にしたり、またはフリーレントを実施したりすることで、空室を埋めることも考えられます。
【更新料をサービスすることで契約更新につながることも】
すでに入居している部屋が空室にならないよう、気を配ることも大切です。賃貸借契約の更新時期に更新料を収受する条項が入っている場合、「更新料を払うくらいなら引越しをしよう」と考える入居者もいます。
新しい入居者を探す手間とコストを考えると、大抵の場合、現在の入居者に賃貸借契約を継続してもらった方が有利です。入居者が退居の意思表示をしたときは、更新料を割引したり、無料のオファーを出したりすることで、引越しを考えている入居者を引き留められる可能性もあります。長い目で見て、判断することをおすすめします。
入居時期について
【年間の需給バランスを知っておく】
賃貸物件の需給バランスは1年のうちで大きく変動します。3月がピークになることはよく知られています。以下では年間を通じた需給バランスの概要をまとめてみましょう。
1月はまだ需要が少ない時期ですが、4月からの入学や就職に向けて、物件探しを始める人もいます。2月からは物件の内覧なども頻繁に入るようになります。早い人では賃貸借契約を締結し始める時期でもあります。そして、3月は需要のピークとなり、不動産会社の繁忙期にあたります。賃料相場や引越し費用も強気の設定になる時期です。ただし、3月後半になると、空室リスクを避けたい物件オーナーは値下げを始めることもあります。
4月、5月には動きが落ち着き、夏季は一般的にもっとも需要が少なくなると言われます。一方、もう一つのピークは9月と言われます。これは10月から会計年度の下期に入ることで社会での人の動きが増えるためです。10月~12月は春の繁忙期に向けて、物件を仕入れる会社や準備をする不動産オーナーが多く、徐々に物件数が増えていく時期といえます。
【賃料や募集方法にも影響】
上記のような需給バランスを考えると、入居者の需要が増える3月と9月に入居者を確保できるようプランを立てることが大切です。具体的には、高めの賃料設定でも入居者を獲得できるよう物件を準備しておき、2月、8月には内覧に対応できるようにしておくことが求められます。
投資用物件の取得やリフォーム工事などのプランもこれに合わせるのが理想ですが、多くの会社が同じようなスケジュールで動くため、完工時期が重なったり、職人が不足したりすることもあります。そのような影響も考慮に入れて、余裕を持たせたプランを立てたいところです。
一方で、最近は大学の入学試験制度が多様化しており、年が明ける前に入学が確定する場合も増えています。その分需要の波も一部前倒しになっているという見方があることも知っておきましょう。
不動産会社、管理会社は強力なパートナー
【募集が得意な不動産会社かどうか】
ひと口に不動産会社と言っても、それぞれ得手不得手があります。空室を避けたいと考えている場合は、入居者募集が得意な不動産会社をパートナーとして選ぶべきです。やはり賃貸仲介業を主事業としている会社は、売買を主力業務にしている会社に比べると賃貸物件の取扱い件数が相当多くなるので、より専門的な対応が期待できると考えられます。
【賃貸管理はしっかりしているか】
せっかく入居してもらっても、日常の清掃や管理業務が行き届いていないと、生活環境の不満から入居者が退居してしまうかもしれません。賃貸管理会社を選ぶ際には、賃貸管理業務をしっかりしてくれるパートナーかどうかの見極めも大切です。